May 10, 2021
前回のブログではUniversal Virtualityについて、コンセプトや電子化・自動化との関係性について掘り下げました。リモートワークが定着するなか、従業員とのエンゲージメント向上は重要な課題です。
ミレニアル世代やジェネレーションZ世代の従業員が増え、新型コロナの影響もあり、価値観や「仕事」の定義が変化しています。各個人にあった職務内容や働き方を提供できる会社は、優秀な人材を引き付け、リテンションにつながります。「状況に応じた働き方」とは、単なる世代の違いの問題ではありません。1つのソリューションで全ての問題に対応できるはずはなく、テクノロジーやさまざまな働き方を的確に管理していくことが、今後ますます重要となるでしょう。ここで、法律事務所の秘書や投資銀行のジュニアバンカーの役割について考えます。
秘書業務は、顧客サポート関連にシフト
大手法律事務所では、請求業務、文書処理など、これまでは弁護士秘書が手作業で行っていた業務にテクノロジーを導入しています。弁護士秘書を単純作業から解放し、より戦略的な業務の時間を確保することが目的です。とはいえ、全ての業務を自動化できる訳ではなく、突発的な業務や独創性が求められる業務など、多少は人間の手が必要です。
バックオフィス業務のあり方が変化するなか、取り扱う領域によってニーズが異なることにも留意が必要となります。職務内容についても、全てを網羅する内容から、所属する部門特有のニーズに対応した内容に変化しています。こうした職務内容の進化や、個別要件に応じた職務の設定は、リーガルセクターで活発に行われていますが、金融やプロフェッショナルサービスといった分野でも応用が可能です。
確実にいえることは、「未来の弁護士秘書はアシスタントではない」ということです。ビジネス開発やクライアントサポートのプロとして、自動化に脅かされるのではなく、テクノロジーと共存するでしょう。
金融サービス業界:資料作成業務はエキスパートに任せて案件戦略に集中する
投資銀行、資産運用会社、PEファンドなどの金融サービス業では、ハイエンドなパワーポイント資料、ビデオ、独創的なマーケティング資料など、訴求力のある魅力的なデジタルコンテンツへのニーズが、リモート化が進む中で高まっています。より多くの案件を獲得するためには、より詳細でリアルタイムなパフォーマンスデータや分析も必要です。これまでは、こうした資料を作成するのはジュニアバンカーやアナリストの仕事でしたが、顧客との接点がバーチャル化し、競争が激化するなか、目を引く資料の重要性が高まっています。
ピッチブック、プレゼン資料などのマーケティング資料作成を専門の資料作成チームに委託すれば、専門外の仕事からアソシエイトやアナリストを解放し、個々の能力を活かした仕事に集中させられます。ノンコアな資料作成に貴重な時間を費やすことなく、バンカーのコア業務である顧客サポートや営業活動のクオリティを向上させられます。
個人の能力を活かせる働き方を提供できると、優秀な人材の採用とリテンションが可能となる
「状況に応じた働き方」は、「各社員のニーズに適合した働き方」を意味します。企業は「仕事」の定義を見直し、従業員との効果的な関係を模索する必要があります。単純作業や専門外の作業を自動化・外注すれば、社員の能力をより活かす働き方を提供することが出来ます。結果として、バックオフィス業務は進化し、収益部門のスタッフは重要な顧客対応に集中できるようになります。従業員は、働き方に自分のニーズが反映されていると感じられ、目的意識が向上します。カスタマイズされた働き方を提供すると、従業員の生産性が向上するだけでなく、時間を効率的に使えるようになります。
企業は優秀な人材を採用・維持するため、インセンティブとして「個人の能力/ニーズにあった働き方」の提供を積極的に進めるべきです。