過去、現在、未来:コロナ禍を経て、法律事務所における働き方がどう変わるか?

July 29, 2020

2020年、世界情勢が大きく変わりました。世界的なパンデミックにより、オンサイト勤務とリモートワークの垣根が取り払われました。Sandpiper Partnersと当社が共同で実施したアンケート調査によると、パンデミックとそれに伴う経済的な影響が、「だれがいつ出社するか」といった出社の必要性の判断基準の変化など、リーガルサービスセクターにおける行動変容を促したことが指摘されています。新型コロナの新規感染者数が増加し続けている国・地域もあり、コロナ禍は進行中ですが、今後、法律事務所が機動力を発揮するには、どのようなインフラが必要でしょうか?

このアンケート踏査では、職場における4つの要素である「人材」、「勤務場所」、「プロセス」および「テクノロジー」に注目しました。調査結果およびクライアントである法律事務所からの貴重なフィードバックを分析すると、職場環境の変化は非常に速いスピードで起こっています。このテーマについて、コロナ前、コロナ禍およびコロナ後の働き方を可視化して考察します。

コロナ前の世界

コロナ前は、弁護士をはじめ、法律事務所スタッフのほぼ全員が毎日出社していました。ほとんどの場合、法律事務所は都市中心部に所在し、収益を生み出す弁護士のほか、秘書、マーケティング担当、財務サポート、人事担当といったバックオフィス業務を行うスタッフが同じ場所で勤務していました。テクノロジーはオンプレミスで管理・運用されており、セキュリティへの懸念から、クラウドベースのテクノロジーの導入には消極的でした。通常、リモートアクセス権限が付与されているのはIT担当スタッフだけでした。弁護士については、ミレニアルやジェネレーションZ世代の増加を受けてフレキシブルな働き方の導入が進んでいましたが、秘書、請求業務、マーケティングといったバックオフィス業務のスタッフについては検討されていませんでした。

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コロナ禍:ロックダウンを経て徐々に出社が再開

現在は、一部の出社が必須の業務を担当するスタッフを除いて、オフィスから人がいなくなりました。ほとんどの弁護士やバックオフィススタッフが在宅勤務となっています。出社が再開されている地域もありますが、ソーシャルディスタンスを確保するために出社の割合を限定するなどの措置を継続しています。オンプレミステクノロジーにより、社内のリモートネットワークおよびリモート連携を実現していますが、プロセスやタスクのリモート対応はうまくいっていません。結果として、在宅勤務のバックオフィススタッフができる仕事はあまりない、というのが現状です。出社する社員の数を抑えつつ、メールや紙ベースの書類を処理しなければならないという状況をうけて、これまで紙ベースで行っていた業務の電子化を加速しています。

コロナ後:効率性および回復力の向上

今後は、在宅と出社を組み合わせたハイブリッド勤務の浸透が見込まれるなか、機動的な働き方へのシフトが進むでしょう。物理的な事務所スペースを再検討し、必要な会議室やホットデスキングスペースを確保したうえで、一等地の事務所スペースを削減する法律事務所が増加することも見込まれます。サポート機能のリモート対応が可能となり、低コストな国内外拠点への移管が進み、プロセスは一元化されると考えられることから、法律事務所では、ビラブルアワーで評価することが出来ないバックオフィススタッフ等の生産性に関するデータ分析と、それに基づいた意思決定を可能とするワークフローツールの導入が進むと予想されます。

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コロナ禍の影響をうけて、法律事務所における働き方が大きく変化したのは間違いありません。法律事務所は、状況を大局的な観点から俯瞰しつつ、ビジネス課題に対応し、コロナ後に繁栄を謳歌するための施策を講じています。スケールメリットによるコスト削減、成長促進、増益を目指し、事務所機能の一元化を検討しています。今後は、コスト管理だけでなく、生産性の最適化や、今後直面する可能性のある危機を乗り越えられる強靭なビジネスの構築が重視されるでしょう。

コロナ禍の法律事務所のバックオフィス業務への影響に関するレポートは、こちらからダウンロード可能です。

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